Introduction
[Salesforce Platform暗号化組織でのUPWARD利用に関わる制限事項]では、[Salesforce Platform]の暗号化機能である[Shield Platform Encryption](以下、[Platform Encryption])を有効化した組織で、UPWARDの各アプリケーション/機能をご利用いただく際の制限事項について説明します。
[Platform Encryption]には暗号化方式として「確率的」と「確定的」の2種類があり、方式によって発生する制限事項が異なります。
本ページでは、はじめに[Platform Encryption]の概要と両方式の違いを説明し、続いてアプリケーション別に制限事項を整理します。
[Platform Encryption]とは
[Platform Encryption]は、[Salesforce]が提供する[Salesforce Shield]のオプション機能です。
保存データ(Data-at-Rest)を項目単位/ファイル単位で暗号化し、データベースやファイルストレージ、検索インデックスなどに平文を保持しないようにします。
これにより、データベースファイルの抜き取りやバックアップの流出といった、ストレージ層に直接アクセスされた場合の情報漏えいリスクを低減します。
[Platform Encryption]では、暗号化対象を任意に選択できます。主な対象は以下のとおりです。
項目を暗号化する際には、暗号化方式として「確率的(Probabilistic)」または「確定的(Deterministic)」を選択します。
この方式の違いによって、暗号化したままでの検索・絞り込みの可否が変わり、結果としてUPWARDの各機能で発生する制限事項も異なります。
暗号化によりデータ保護レベルは向上しますが、暗号化された項目は[Salesforce Platform]上での検索・絞り込み・ソート・数式参照などに制限が生じます。
本ページの制限事項は、この特性に起因してUPWARDの各機能で発生するものです。
なお、以下の項目は[Platform Encryption]の暗号化対象外であり、暗号化に起因する制限は発生しません。
- [数値]型項目(緯度/経度、訪問優先順位など)
- [参照関係]型項目
暗号化方式(確率的/確定的)の違い
| 暗号化方式 | 特徴 | 暗号化したままの検索/絞り込み |
|---|---|---|
| 確率的(Probabilistic) | 同一データでも暗号化のたびに異なる暗号文を生成します。 安全性が高い方式です。 | 不可 |
| 確定的(Deterministic) | 同一データであれば常に同一の暗号文となります。 安全性は確率的方式に劣ります。 | 完全一致での検索/絞り込みが可能です。 ただし範囲検索・部分一致(ワイルドカード)・ソートなどは不可です。 |
関連リンク
制限事項一覧
部分一致検索やソートは確定的方式でもサポートされないため、これらに起因する制限は確率的・確定的の両方で発生します。
一方、リストビューの適用や完全一致での絞り込みなど、確定的方式では利用できる操作は、確率的方式でのみ制限が発生します。
●:制限が発生する暗号化方式
-:該当なし(制限なし)
[UPWARD ENGINE]
| 機能/操作 | 制限事項・発生する現象 | 確率的 | 確定的 |
|---|---|---|---|
| リストビューの適用 | [新規ジオコーディング設定: [Salesforce Platform]側で暗号化項目を含むリストビューを作成できないためです。 | ● | – |
| [レコード一覧]の検索 | [ジオコーディング設定: 検索してもレコードがヒットしません。 | ● | ● |
[UPWARD Web]
| 機能/操作 | 制限事項・発生する現象 | 確率的 | 確定的 |
|---|---|---|---|
| [地図]でのキーワード検索 | [地図: キーワードを入力して検索しても結果が返りません。 | ● | ● |
| [滞在検知]/[地図]の条件設定 | [オブジェクト]>[連携項目: そのため、[滞在検知]や[地図]の条件として選択できません。 | ● | ● |
| [連携項目]の[カテゴリ]設定 | [オブジェクト]>[連携項目: 設定画面の選択肢に表示されません。 | ● | ● |
| 暗号化項目を含む数式項目の絞り込み | [オブジェクト]>[連携項目: [オブジェクト]>[絞り込み条件]の[条件を指定]に設定できる場合も、[UPWARDモバイルアプリ]側でエラーが発生します。 | ● | ● |
| [絞り込み条件]への暗号化項目の直接設定 | [オブジェクト]>[絞り込み条件]の[条件を指定]に暗号化項目(複数項目のAND/OR)を追加しても、絞り込みが反映されません。 | ● | ● |
[UPWARDモバイルアプリ]
| 機能/操作 | 制限事項・発生する現象 | 確率的 | 確定的 |
|---|---|---|---|
| [付近の活動先]の絞り込み | [付近の活動先: 結果が表示されません。 | ● | ● |
| [検索]の対象項目選択 | [検索: 検索/絞り込みの対象項目として選択できません。 | ● | ● |
| [レコード名で絞り込む]と[絞り込み]の併用 | [付近の活動先: (単一条件では発生しない場合があります) | ● | ● |
| 関連リストのレコードAND検索 | [活動先詳細]画面の関連リスト一覧で、暗号化項目を含むAND検索を行うとエラーが発生します。 (1単語のみの検索では発生しません) | ● | ● |
| 活動管理(カスタムオブジェクト)の[開始]/[終了] | [UPWARD Web]の[活動管理]で[報告先オブジェクト]にカスタムオブジェクトを選択し、[開始]/[終了]の日付/時間を暗号化項目に設定すると、アプリでエラーが発生します。 標準オブジェクトの[行動](Event)は[開始]/[終了]を暗号化できないため、カスタムオブジェクトでのみ発生します。 | ● | ● |
| 活動管理(カスタムオブジェクト)への報告 | [UPWARD Web]の[活動管理]で[報告先オブジェクト]にカスタムオブジェクトを設定すると、正常に報告できません。 報告後にローディング画面が継続します。 | ● | ● |
| 名刺スキャンの項目マッピング | 名刺スキャンの[項目マッピング]でテキスト/URL/電話/メール型の暗号化カスタム項目を割り当てても、対象項目に値が反映されません。 | ● | ● |
[Map for Salesforce]の[活用ガイド]>[ジオコーディング
| 機能/操作 | 制限事項・発生する現象 | 確率的 | 確定的 |
|---|---|---|---|
| ジオコーディングの[レコード一覧]検索 | ジオコーディングの[レコード一覧]で、暗号化項目を対象とした検索を行っても、該当する検索結果が返りません。 | ● | ● |
[Map for Salesforce]の[マップ]
| 機能/操作 | 制限事項・発生する現象 | 確率的 | 確定的 |
|---|---|---|---|
| 暗号化項目による[地図]の絞り込み/[フィルタ] | [地図一覧: 確率的方式では[フィルター]タブで暗号化項目を選択できません 確定的方式では[フィルター]タブに暗号化項目を設定すると地図絞り込みエラーが発生し、データ取得に失敗します。 | ● | ● |
| [スタイル]設定 | [地図一覧: 選択肢に表示されません。 | ● | ● |
| [スタイル]/[表示項目]による絞り込み | [地図一覧: 選択肢に表示されません。 | ● | ● |
[Map for Salesforce]の[プラン]
| 機能/操作 | 制限事項・発生する現象 | 確率的 | 確定的 |
|---|---|---|---|
| 暗号化項目の[ソート]/[絞り込み] | [プラン]画面のリストで、暗号化項目を[ソート: 暗号化項目はプルダウンに表示されないためです。 | ● | – |
[UPWARD Component]
| 機能/操作 | 制限事項・発生する現象 | 確率的 | 確定的 |
|---|---|---|---|
| [一括スケジュールアシスタント] | Lightningページに配置した[一括スケジュールアシスタント]が、暗号化項目を含む構成では読み込み時にエラーとなり、正常に表示できません。 | ● | ● |
まとめ
[Platform Encryption]を有効化した組織でも、UPWARDの基本的な機能はご利用いただけます。
ただし、暗号化項目に対する検索・絞り込み・ソート・数式参照など、一部の操作に上記の制限が生じます。
制限事項の傾向
- 多くの制限は、確率的方式・確定的方式の両方で発生します(部分一致検索・ソート・数式参照などに起因するもの)。
- リストビューの適用や[Map for Salesforce]の[プラン]でのソート・絞り込みなど、確定的方式では利用できる操作は、確率的方式でのみ制限が発生します。
- 暗号化項目を参照する数式項目は、暗号化方式に関わらず絞り込み条件として利用できません。
- [UPWARD Web]側で設定できても、[UPWARDモバイルアプリ]側でエラーとなるケースがあります。
- 暗号化対象とする項目(Name/住所/件名/説明/電話など)の選定によって、影響を受ける機能が変わります。
- [数値]型項目や[参照関係]型項目は暗号化対象外のため、これらに起因する制限は発生しません。
導入・設計における考慮事項
- UPWARDの検索・絞り込み・地図の条件・ソートに使用する項目は、可能な限り暗号化対象から除外します(または、当該機能を利用しないことを前提に設計します)。
- 完全一致での検索/絞り込みが必要な項目は、確定的方式の採用を検討します。ただし範囲検索・部分一致(ワイルドカード)・ソートは不可である点に留意してください。
- 暗号化項目を参照する数式項目を、絞り込み条件として利用する設計は避けてください。
- 動作確認は[UPWARD Web]と[UPWARDモバイルアプリ]の両方で実施してください。
- 本番適用前に、実際の暗号化方式および暗号化対象項目を反映したSandbox等で検証することを推奨します。
なお、暗号化に関する仕様は[Salesforce]のバージョンアップ等により変更される可能性があります。
最新の仕様および自組織の構成での検証を前提に、設計・運用をご検討ください。